修士論文では、日本社会の中で定住外国人の置かれている現状及びその不合理さに対する
懐疑を問題意識として、日本とフランスの憲法学説及び社会学理論を検討・参照しつつ、
参政権としての選挙権を「主権的権利」から「人権的権利」に捉え直す必要性を提唱した。
しかし、完成した修士論文は、日本及びフランス両国の社会理論及び憲法理論の包摂する問題状況を概説的に指摘するに留まり、実定憲法の解釈・適用の問題として、緻密に選挙権の権利としての性質を
解明するものではなかった。
現在の憲法改定の為の国民投票(憲法96条1項)論議、2014年12月14日、52.32%という低投票率のもとで実施された衆議院解散総選挙(憲法7条3号)の民主的正当性の有無等の選挙権をめぐる問題状況を直視するならば、参政権としての選挙権(憲法15条)の現在的意義に関して再考してみたいと考えています。